労働者災害補償保険法

《目次》【事業主からの費用徴収】【戸籍事項の無料証明】【立入検査】

【事業主からの費用徴収】 (法31条1項)

【問題】事業主が労災保険に係る保険関係の成立の届出をせず、保険料を納付していない場合であっても、その事業に使用される労働者が労災保険法第7条第1項に定める保険給付の受給を制限されることはない。この場合において、政府は、所定の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を当該事業主から徴収することができることとされている。
(平成20年 問1E)
【解答】○
【解説】法31条1項
■事業主が労災保険に係る保険関係の成立の届出をせず、保険料を納付していない場合
⇒労働者は保険給付を制限されることはない。(保険給付を受けられる)
■事業主が故意又は重大な過失により保険関係成立届を提出しない期間中(認定決定後の期間は除く)、または、事業主が概算保険料のうち一般保険料を納付しない期間中(督促状の指定期限後の期間に限る。)に発生した事故について保険給付をおこなった場合
⇒政府は、業務災害に関する保険給付にあっては、
労働基準法の規定による災害補償の価額の限度
・通勤災害に関する保険給付にあっては通勤災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する労働基準法の規定による災害補償の価額の限度
⇒その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる


【問題】事業主の故意若しくは重大な過失により生じた業務災害又は労働安全衛生法その他労働者の安全及び衛生の確保を図るための法令に事業主が違反したことにより生じた業務災害について保険給付を行ったときは、政府は、労働基準法の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を当該事業主から徴収することができる。

(平成19年 問7A)
【解答】×
【解説】(法31条1項)

■設問の「労働安全衛生法その他労働者の安全及び衛生の確保を図るための法令に事業主が違反したことにより生じた業務災害」という箇所を削除すれば正しい。


【問題】事業主が、故意又は重大な過失によって労働保険料の納付を怠った期間中に生じた事故に関しては、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
(平成17年 問2D)
【解答】×
【解説】(法31条1項2号)
■保険料を納付しない期間(督促状に指定する期限後)中に生じた事故について

⇒労働基準法の災害補償の価額の範囲内で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。
■事業主が保険料を納付しない期間中であっても、被災労働者を保護するために保険給付は行われる。 


【問題】労働者の業務災害に関する保険給付は、当該労働者を使用する事業主の災害補償責任に基づくものであるので、その費用については事業主が保険料としてその全額を負担するが、通勤災害に関する保険給付の費用については、その一定割合を国庫が負担することとなっている。

(平成19年 問7D)

【解答】×
【解説】(法30条、法31条、法32条)

■業務災害、通勤災害に関する保険給付の費用について⇒国庫負担は行われていない。
■国庫は、予算の範囲内において、労働者災害補償保険事業に要する費用の一部を補助することができる。


【戸籍事項の無料証明】 (法45条)

【問題】市町村長(特別区及び地方自治法第252条の19第1項の指定都市においては、区長とする。)は、行政庁又は保険給付を受けようとする者に対して、当該市(特別区を含む。)町村の条例で定めるところにより、保険給付を受けようとする者又は遺族の戸籍に関し、無料で証明を行なうことができる。
(平成23年 問7E)
【解答】○
【解説】(法45条)

■設問のとおり正しい。


【立入検査】 (法47条、法48条)

【問題】政府は、保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由がなく、行政の出頭命令に従わないときは、保険給付の支給決定を取り消し、支払った金額の全部又は一部の返還を命ずることができる。
(平成24 問4D)
【解答】×
【解説】(法47条の3)
■「保険給付の支給決定を取り消し、支払った金額の全部又は一部の返還を命ずることができる」⇒「保険給付の支払いを一時差し止めることができる」にすれば正しい。


【問題】保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由がなくて、所定の届出をせず、若しくは書類その他の物件の提出をせず、又は行政庁の報告命令、受診命令等に従わないときは、政府は、保険給付の全部又は一部の支給を取り消し、その返還を命ずることができる。

(平成15年 問5C)
【解答】×
【解説】法47条の3

■「保険給付の全部又は一部の支給を取り消し、その返還を命ずることができる。」⇒

保険給付の支払いを一時差し止めることができる。」にすれば正しい。
■保険給付の全部又は一部の支給取りし、返還命令はできない。


【問題】行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、保険給付の原因である事故を発生させた第三者に対して、労災保険法の施行に関し必要な報告、届出、文書その他の物件の提出を命ずることができる。
(平成23年 問7B)
【解答】○
【解説】(法47条)

■設問のとおり正しい。


【問題】行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む。)に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。
(平成23年 問7C)
【解答】○
【解説】(法47条の2)
行政庁⇒保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む。)に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができることになっている。
【POINT】この命令に違反して診断を受けない場合⇒保険給付の支払の一時差止めが行われる。


【問題】行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(死亡した労働者の遺族を除く。)に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。
(平成16年 問6A)
【解答】×
【解説】(法47条の2)
■行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む。)に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。
■「死亡した労働者の遺族」も含まれるので誤り。


【問題】行政庁は、労災保険法の施行に必要な限度において、職員に、適用事業の事業場に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。この立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
(平成23年 問7A)
【解答】○
【解説】(法48条1項・2項)
■設問のとおり正しい。


【問題】行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者の診療を担当した医師その他の者に対して、当該診療について報告又は診療録その他の物件の提示を命ずることができ、当該報告又は物件の提示を拒んだ場合には、政府は、保険給付の支払を一時差し止めることができる。
(平成15年 問5E)
【解答】×
【解説】(法49条1項)
■行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるとき
⇒保険給付を受け、又は受けようとする者の診療を担当した医師その他の者に対して、その行った診療に関する事項について、
・報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は
・当該職員に、これらの物件を検査させることができる。
ただし、当該報告又は物件の提示を拒んだ場合⇒政府は、保険給付の支払を一時差し止めることはできない。


【問題】保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む。)の診療に関することは守秘義務事項に該当するため、行政庁は、その診療を担当した医師に対して、診療録の提示を命じることはできない。
(平成23年 問7D)
【解答】×
【解説】(法49条1項)
■行政庁⇒保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む。)の診療を担当した医師その他の者に対して、その行った診療に関する事項について、報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員に、これらの物件を検査させることができる。


【問題】行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところによって、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む。)の診療を担当した医師その他の者に対して、その行った診療に関する事項について、報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員に、これらの物件を検査させることができる。

(平成20年 問6C)

【解答】○

【解説】(法49条1項)

■設問のとおり正しい。


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