労働者災害補償保険法

《目次》 【障害補償給付】

【障害補償給付】 (法15条、15条の2)

【問題】障害補償年金は、業務上の傷病が治った場合において、当該労働者の身体に障害が残り、その障害の程度が障害等級第7級以上に該当するときに、支給される。
(平成18年 問3B)
【解答】○
【解説】(法15条1項、法別表第1)
■設問のとおり正しい。
■障害補償年金⇒業務上の傷病が治癒し、障害等級第1級から第7級に該当する障害が残った場合に支給
■業務上の傷病が治癒し、障害等級第8級から第14級に該当する障害が残った場合障害補償一時金が支給。


【問題】業務上の傷病が治り、障害等級第8級以下の障害が残って障害補償一時金を受給した者について、傷病が再発し、治ったが、同一の部位の障害の程度が障害等級第7級以上に該当することとなった場合には、障害補償年金が支給されることとなるが、その額は、原則として、既に受給した障害補償一時金の額の25分の1の額を差し引いた額による。

(平成13年 問3D)

【解答】○

【解説】(法15条、則14条5項)
■再発した場合⇒既存障害と同一部位について加重した場合の処理と同じ扱いに。

既に身体障害(業務災害に限られない)のあった者が、負傷又は疾病(業務災害に限る)により同一の部位について障害の程度を加重した場合
■既存障害、新たな障害がともに年金、一時金の場合⇒「加重後の年金(一時金)額-加重前の年金(一時金)額」で計算。

■既存障害が一時金で、新たな障害が年金の場合⇒「加重後の年金額-加重前の一時金の額の25分の1」で計算。


【問題】障害補償年金又は障害年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があり、障害等級第8級以下に該当するに至った場合には、従前の障害補償年金又は障害年金は支給されず、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償一時金又は障害一時金が支給されることとなるが、その額が、従前の6年間に支給された障害補償年金又は障害年金の合計額を超える場合には、その超える部分の額を減じた額の障害補償一時金又は障害一時金が支給される。

(平成19年 問5D)
【解答】×
【解説】(法15条の2、法22条の3)
前半の論点は正しいが、後半のような規定はない。
障害(補償)年金の支給事由となっている障害の程度が新たな傷病によらず、又は傷病の再発によらず、自然的に変更した場合
・職権又は請求によりその変更が障害等級第1級から第7級の範囲内であるとき⇒その変更のあった月の翌月の分から障害(補償)年金の額を改定
・その変更が障害等級第8級以下に及ぶときは⇒障害(補償)年金の受給権が消滅し、その月分をもって障害(補償)年金の支給を打ち切り、障害(補償)一時金を支給。


【問題】障害補償一時金又は障害一時金を受けた労働者の当該障害の程度に変更を生じ、障害等級第7級以上に該当するに至った場合には、新たに該当するに至った障害等級に応ずる障害補償年金又は障害年金が支給されることとなるが、(1)その額を、既に支給された障害補償一時金又は障害一時金の額の25分の1の額を減じた額とするか、(2)当該障害補償一時金又は障害一時金の額に達するまでの間は障害補償年金又は障害年金の支給を停止するか、そのいずれかを受給者は選択することができる。
(平成19年 問5E)
【解答】×
【解説】(法15条の2、法22条の3)
障害(補償)一時金を受けた者の障害の程度が変更(新たな傷病によらず、又は傷病の再発によらず、自然的に変更した場合)されても、障害(補償)年金又は障害(補償)一時金は支給されない。


【問題】障害補償年金又は障害年金を受ける権利を有する者は、当該年金の前払一時金の支給を受けることができ、所定の要件を満たす場合には、厚生労働省令で定める額を上限として、一定の期間の経過後に、同一の事由について、再度、前払一時金の支給を受けることができる。
(平成20年 問4D)
【解答】×
【解説】(法附則59条、法附則61条、則附則27条、則附則38条)
政府は、障害(補償)年金を受ける権利を有する者に対して、その請求に基づき、障害(補償)年金前払一時金を支給することになっており、その額は障害等級に応じて定められた額のうち、受給権者が選択する額とされている。
障害(補償)年金前払一時金の請求は、障害(補償)年金の請求と同時、または、障害(補償)年金の支給決定の通知があった日の翌日から起算して1年を経過する日までの間に行わなければならない。
また、障害(補償)年金前払一時金の請求⇒同一の事由に関し、1回に限り行うことが可能。複数回に分けて請求することは不可。


【問題】業務上の傷病が治り、障害等級第8級以下の障害が残って障害補償一時金を受給した者について、傷病が再発し、治ったが、同一の部位の障害の程度が障害等級第7級以上に該当することとなった場合には、障害補償年金が支給されることとなるが、その額は、既に受給した障害補償一時金の額に達するまでの間は、全部又は一部(いずれか受給者の選択による。)の支給が停止される。

(平成13年 問3E)

【解答】×

【解説】(法15条、則14条5項)>>
再発した場合も、既存障害と同一部位について加重した場合の処理と同じ扱いとなる。
よって、問題文のように「既に受給した障害補償一時金の額に達するまでの間は、全部又は一部(いずれか受給者の選択による。)の支給が停止される。」という規定はない。


【問題】障害等級表に該当する障害が2以上あって厚生労働省令の定める要件を満たす場合には、その障害等級は、厚生労働省令の定めるところに従い繰り上げた障害等級による。繰り上げた障害等級の具体例を挙げれば、次のとおりである。
①第8級、第11級及び第13級の3障害がある場合     第7級
②第4級、第5級、第9級及び第12級の4障害がある場合  第1級
③第6級及び第8級の2障害がある場合          第4級
(平成21年 問6C)
【解答】○
【解説】(法15条、則14条3項)
障害等級の併合繰上げに関する問題
どちらかの障害等級が第14級の場合⇒重い方の等級
第13級以上の障害が2以上⇒重い方の等級を1級繰上
第8級以上の障害が2以上⇒重い方の等級を2級繰上
第5級以上の障害が2以上⇒重い方の等級を3級繰上


【問題】障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級については、同一の業務災害により第5級以上に該当する身体障害が2以上残った場合は、第1級を上限として、重い方の身体障害の障害等級を3級だけ繰り上げた障害等級による。
(平成20年 問4E)
【解答】○
【解説】(則14条3項)
障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級については、同一の業務災害により第13級以上の障害が2以上ある場合
⇒重い方の障害等級を次のとおり繰り上げることになっている。
(1)第13級以上に該当する身体障害が2以上あるとき⇒1級
(2)第8級以上に該当する身体障害が2以上あるとき⇒2級
(3)第5級以上に該当する身体障害が2以上あるとき⇒3級
【ポイント】
・繰り上げた障害等級が第8級以下である場合において、各障害等級に応ずる障害補償給付の額の合算額が、繰り上げた障害等級に応ずる障害補償給付の額に満たないとき⇒各障害等級に応ずる障害補償給付の額の合算額が障害補償給付の額となる。(第13級と第9級の場合にのみ該当する。)


【設問】障害補償給付又は障害給付を支給すべき身体障害の障害等級は、労働者災害補償保険法施行規則別表第1に定められているが、同表に掲げる身体障害が二以上ある場合における身体障害の障害等級として、誤っているものはどれか。
(平成15年 問6A~E)
(A)第4級及び第5級の身体障害がある場合、第2級
【解答】×
【解説】
第5級以上の障害が2以上ある場合⇒重い方の等級(第4級)を3級繰上げるので併合後の等級は第1級となる。

(B)第7級及び第8級の身体障害がある場合、第5級
【解答】○
【解説】第8級以上の障害が2以上ある場合⇒重い方の等級(第7級)を2級繰上げるので併合後の等級は第5級となる。
(C)第9級及び第14級の身体障害がある場合、第9級
【解答】○
【解説】どちらかの障害等級が第14級の場合⇒重い方の等級(第9級)となる。
(D)第10級及び第12級の身体障害がある場合、第9級
【解答】○
【解説】第13級以上の障害が2以上ある場合⇒重い方の等級(第10級)を1級繰上げるので併合後の等級は第9級となる。
(E)第9級、第11級及び第13級の身体障害がある場合、第8級

【解答】○
【解説】
第13級以上の障害が2以上ある場合⇒重い方の等級(第9級)を1級繰上げるので併合後の等級は第8級となる。
【point】
障害等級の併合繰上げは次のようになっている。
①どちらかの障害等級が第14級の場合⇒重い方の等級
②第13級以上の障害が2以上⇒重い方の等級を1級繰上
③第8級以上の障害が2以上⇒重い方の等級を2級繰上
④第5級以上の障害が2以上⇒重い方の等級を3級繰上
(例外)繰上げ後の等級が8級以下であるとき⇒各障害の支給額を合算した額が、併合繰上げにより繰上げられた等級による支給額に満たないときには、各障害の支給額を合算した額が支給。
具体的には、「第13級と第9級」のときのみ。


【問題】障害補償給付を支給すべき障害は、厚生労働省令で定める障害等級表に掲げる障害等級第1級から第14級までの障害であるが、同表に掲げるもの以外の障害は、その障害の程度に応じ、同表に掲げる障害に準じて障害等級が認定される。
(平成21年 問6A)
【解答】○
【解説】(法15条、則14条4項)
(原則)障害補償給付を支給対象となる障害⇒障害等級表に掲げる障害等級第1級から第14級までの障害である。
(例外)障害等級表に掲げるもの以外の身体障害⇒その障害の程度に応じ、同表に掲げる身体障害に準じてその障害等級を定める。


【問題】既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償年金を受ける者が新たな業務災害により障害の程度を加重された場合には、その加重された障害の該当する障害等級に応ずる新たな障害補償年金が支給され、その後は、既存の障害に係る従前の障害補償年金は支給されない。
(平成21年 問6B)
【解答】×
【解説】(法15条、則14条5項)
既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償年金を受ける者が新たな業務災害により障害の程度を加重された場合⇒新たにその加重された障害の該当する障害等級に応ずる障害補償年金から既存の障害に係る従前の障害補償年金を差し引いた額の障害補償年金が支給。
合わせて、既存の障害に係る従前の障害補償年金は引き続き支給。


【問題】障害補償年金を受ける者の障害の程度について自然的経過により変更があった場合には、新たに該当することとなった障害等級に応ずる障害補償給付が支給され、その後は、従前の障害補償年金は支給されない。

(平成21年 問6E)
【解答】○
【解説】(法15条の2)
障害補償年金支給事由となっている障害の程度が新たな傷病によらず、又は傷病の再発によらず自然的に変更した場合
⇒職権又は請求により、その変更が障害等級第1級から第7級の範囲内であるとき
・その変更のあった月の翌月の分から障害補償年金の額を改定
・その変更が障害等級第8級以下に及ぶときは、障害補償年金の受給権が消滅するので、その月分をもって障害補償年金の支給を打ち切り、障害補償一時金を支給。


【問題】既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償一時金を支給されていた者が新たな業務災害により同一の部位について障害の程度が加重され、それに応ずる障害補償年金を支給される場合には、その額は、原則として、既存の障害に係る障害補償一時金の額の25分の1を差し引いた額による。
(平成21年 問6D)
【解答】○
【解説】(法15条、則14条5項)
既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付が障害補償一時金相当額で、新たな業務災害により同一の部位について障害の程度が加重され、障害補償年金が支給される場合の障害補償年金の額⇒加重後の障害補償年金の額から既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償一時金相当額を25で除して得た額を差し引いた額。
【POINT】
⇒支給額=加重後の障害補償年金の額-(既存の障害補償一時金の額÷25)


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