【支給の繰下げ】 法44条3

【問題】障害基礎年金の受給権者であって平成19年4月1日以後に老齢厚生年金の受給権を取得した者が、その受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求しておらず、かつ障害基礎年金以外の障害年金又は遺族年金の受給権者となったことがないときは、厚生労働大臣に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができる。
(平成19年 問3A)
【解答】〇
【解説】(法44条の3第1項)

■設問のとおり正しい。
■老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して1年を経過した日(1年を経過した日)前に当該老齢厚生年金を請求していなかったもの➠厚生労働大臣に老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。
■ただし、その者が老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付の受給権者であったとき、又は1年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったとき➠老齢厚生年金の繰下げの申出を行うことはできない。
■老齢厚生年金の繰下げ制度は平成19年4月1日前に受給権を取得した者には適用されない。(法附則42条(平成16年6月11日法律第104号)

【問題】60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者であった者は、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことはできない。
(平成19年 問3B)
【解答】×
【解説】(法44条の3第1項)
■60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金の受給権であった者でも、その受給権を取得した日から起算して1年を経過した日(1年を経過した日)前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、厚生労働大臣に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。

【問題】昭和17年4月2日前に生まれた者であって、平成19年4月1日以後に老齢厚生年金の受給権を取得した者については、すべて老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができない。
(平成19年 問3D)
【解答】×
【解説】(法附則42条 平成16年6月11日法律第104号)
■設問の者は、要件を満たせば、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。

■(平成16年改正)➠平成19年4月1日以後に受給権を取得した者から支給繰下げの要件を満たす場合に適用。生年月日による制限はない。

【問題】老齢厚生年金の支給繰下げの申出は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出と同時に行わなければならない。

(平成19年問3E)

【解答】×

【解説】(法44条の3、国年法28条)

■老齢厚生年金の支給の繰下げの申出と、老齢基礎年金の支給の繰下げの申出は同時に行わなくてもよいため誤り。

【問題】70歳に達した者であって、その者が老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った場合に支給する老齢厚生年金の額に加算する額は、繰下げ対象額(在職老齢年金の仕組みにより支給停止があったと仮定しても支給を受けることができた(支給停止とはならなかった)額に限られる。)から経過的加算額を控除して得られた額に増額率を乗じて得られる額である。
(平成23年 問1B)
【解答】×
【解説】(法44条の3第4項、令3条の5の2)
■老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った場合に支給する老齢厚生年金の額に加算する額(繰下げ加算額)は、繰下げ対象額(在職老齢年金の仕組みにより支給停止があったと仮定しても支給を受けることができた(支給停止とはならなかった)額に限定。)に経過的加算額を加算して得られた額に増額率(1000の7に受給権取得月から支給繰下げの申出をした日の属する月の前月までの月数(当該月数が60を超えるときは、60)を乗じて得た率)を乗じて得られた額になる。

【繰上げ支給の老齢厚生年金】 (法附則7条3)

【問題】老齢厚生年金の支給を繰上げて受給している者が、当該老齢厚生年金の受給権を取得した日以後65歳に達する日前に被保険者期間を有した場合には、その者が65歳に達した日の属する月から年金額の改定が行われる。
(平成19年 問3C)
【解答】×
【解説】(法附則7条の3第5項)

■「65際に達した日の属する月から」⇒「65歳に達した日の属する月の翌月」にすれば正しい。

【問題】第三種被保険者期間を有していたことがない者で、1か月以上の厚生年金保険の被保険者期間を有する昭和38年4月1日生まれの男子が、60歳になった場合、その者が、老齢厚生年金の受給資格を満たし、かつ国民年金の任意加入被保険者でないときは、65歳に達する前に厚生労働大臣に老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。

(平成19年 問1B)
【解答】〇
【解説】(法附則7条の3第1項)

■設問の男子は、昭和36年4月2日以後生まれセ、特別支給の老齢厚生年金は支給されないため、60歳以上65歳到達前の間⇒老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。

■特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げ措置により下記の者については60歳からの年金支給がなくなる。
①昭和36年4月2日以後に生まれた男子(3に該当する者を除く)
2昭和41年4月2日以後に生まれた女子(3に該当する者を除く)
③第3種被保険者期間が15年以上ある者であって昭和41年4月2日以後に生まれたもの
そして、特別支給の老齢厚生年金の対象とならない60歳以上65歳未満の者(国民年金の任意加入被保険者でない者に限る)については、老齢厚生年金の繰上げの請求をすることができるとされている。

【問題】厚生年金保険法附則第7条の3に規定する繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者が、65歳に達している厚生年金保険の被保険者である場合において、その被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前までの被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとする。
(平成21年 問5A)
【解答】○
【解説】(法43条3項、法附則7条の3第5項、法附則15条の2)
■設問の繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者が、受給権を取得した後65歳到達前に被保険者期間を有した場合は、その者が65歳に達したときに、退職時改定を伴わななくても、年金額の改定を行う。

退職時改定については、65歳に達するまでは退職時改定を行わず、65歳の改定以後に被保険者期間を有した場合は、退職改定が行われる。

■受給権を取得した後の期間にかかる増額分については、減額措置は講じられない。