【問題】障害等級1級及び2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したときは、遺族厚生年金の支給要件について、死亡した当該受給権者の国民年金の被保険者期間を問われることはない。
(平成22年 問10D)
【解答】○
【解説】(法58条1項)
・ 被保険者が死亡した場合
・老齢厚生年金を受けることができる者が死亡した場合
・初診日において被保険者であった者が被保険者でなくなった後にその傷病により死亡した場合(初診日から5年以内
・障害等級1級及び2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合
⇒遺族厚生年金が支給される。
被保険者が死亡した場合及び初診日において被保険者であった者がその傷病により被保険者でなくなった後に死亡した場合(初診日から5年以内)については
⇒保険料納付要件を満たしていることが必要。
【問題】遺族厚生年金の遺族の範囲における父母については、55歳以上(平成8年4月1日前の被保険者又は被保険者であった者の死亡に係る障害等級1級又は2級に該当する場合を除く)でありかつ生計維持関係があると認められる者であり、養父母(養子縁組による父母)も含まれる。
(平成18年 問1D)
【解答】○
【解説】(法59条1項、法附則72条2項)
死亡した被保険者等と生計維持関係にある遺族が、夫、父母又は祖父母である場合、原則として55歳以上でなければ受給権が発生せず、例外としてその死亡した者の死亡日が平成8年4月1日前であり、障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にある場合には、受給権者の年齢に関係なく 遺族厚生年金の受給権が発生する取扱いとなっている。
そして、遺族である父母には、当然、養父母(養子縁組による父母)も含まれることになっており、問題文は正解となる。
(参考)
遺族年金の支給対象の子の範囲
1.遺族厚生年金の支給対象となる遺族である子には、たとえ事実上養子と同様な状態にある子であっても含まれない。事実関係を認める場合には、特別な規定が必要である。(昭和30年4月21日保文発第3641号)
2.遺族厚生年金の支給対象となる遺族である子及び孫には、被保険者死亡前に他家に養子に行っている者も当然含まれる。(昭和40年9月3日庁文発第6738号)
【問題】配偶者の死亡に係る遺族厚生年金の遺族の取扱いについて、離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされている場合には、その後に事実上婚姻関係と同様の事情にあり、当事者間に、社会通念上、夫婦としての共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があり、その事実関係が存在するときであっても、配偶者の死亡に係る遺族厚生年金の遺族とはしない。
(平成23年 問3E)
【解答】×
【解説】(法3条2項、法59条、平成23年3月23日年発0323第1号)
離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているにもかかわらず、その後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者の取扱いについては、その者の状態が次の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定するものとされている。
(1)当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること
(2)当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること
よって、問題文の場合は、配偶者の死亡に係る遺族厚生年金の遺族とされるため、誤りの肢となる。
【問題】旧適用法人共済組合の退職共済年金の受給権者である妻が、平成19年4月1日前に死亡した場合に、その者の死亡の当時2級以上の障害の状態にある夫については、夫の年齢を問わず遺族厚生年金が支給される。
(平成18年 問1A)
【解答】○
【解説】(法附則11条2項・4項)
国家公務員共済組合法では、遺族共済年金の受給権者が夫、父母又は祖父母である場合には、60歳に達するまでの間、遺族共済年金が支給停止されることになっている。
しかし、これらの者が、障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にある場合には、受給権者の年齢に関係なく、遺族共済年金を支給することとしている。
なお、遺族厚生年金については、遺族が、夫、父母又は祖父母である場合、原則として55歳以上であるときに受給権が発生することになっており、例外としてその死亡した者の死亡日が平成8年4月1日前であり、障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にある場合には、受給権者の年齢に関係なく 遺族厚生年金を支給する取扱いとなっている。(法附則72条2項(昭和60年5月1日法律第34号))
このため、旧適用法人共済組合員期間を有する者が平成19年4月1日前(施行日より10年以内)に死亡したときに、その者の遺族が夫、父母又は祖父母である場合には、夫、父母又は祖父母が55歳未満であっても障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態にある場合には、経過措置として遺族厚生年金を支給する取扱いとしている。
【問題】遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る。)は、その受給権者が老齢厚生年金等のいずれかの受給権を有するときは、当該老齢厚生年金等の額の合計額から政令で定める額を控除した額に相当する部分の支給を停止する。
(平成22年 問10C)
【解答】○
【解説】(法64条の3第1項)
遺族厚生年金の受給権者が65歳以後に老齢厚生年金等の受給権を有しているときは、遺族厚生年金のうち当該老齢厚生年金等に相当する額の支給を停止することとされている。(当該受給権者が退職共済年金の受給絵権者である場合にあっては、退職共済年金のうち政令で定める額(職域加算部分)を控除した額が支給停止額となる。)
よって、問題文は正解となる。
なお、従来の遺族厚生年金と老齢厚生年金の受給権を有する場合の併給調整の仕組みでは、遺族厚生年金を受給した場合には、自分自身の被保険者期間に基づく老齢厚生年金が受給できない(遺族厚生年金の3分の2と老齢厚生年金の2分の1の併給の場合にあっても、自分自身の老齢厚生年金の2分の1は受けられなかった)ために「掛け捨て感」生じる問題があった。このような問題を踏まえ、平成16年改正による遺族給付の受給方法では、まず、自分自身の老齢厚生年金を優先的に受給し、遺族厚生年金の年金額については、従来の受給方法で受けることができた額の中で最も多い額とし、そのうち優先的に受給する老齢厚生年金相当額を支給停止する仕組みとなったことから、新たに設けられたものである。
【問題】遺族基礎年金の受給権を取得しない子に支給される遺族厚生年金の額については、遺族厚生年金の額に、遺族基礎年金の額及び子の加算額に相当する額を加算した額とする。
(平成18年 問1E)
【解答】○
【解説】(法附則74条2項)
障害厚生年金の受給権者が外国に居住し国民年金に任意加入してない間に死亡した場合及び昭和36年4月1日前の期間のみを有する老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合には、その遺族である妻が子と生計を同じくしている場合でも遺族基礎年金は支給されない。(もちろん遺族である子にも支給されない)
その点を考慮して、遺族基礎年金が支給されない子がある妻や子であっても遺族厚生年金が支給される者に対しては、特例として遺族厚生年金において遺族基礎年金相当額が加算される取扱いとなっている。
なお、遺族基礎年金相当の加算額については、遺族基礎年金の支給停止、失権等に関する規定が準用され、併給調整については遺族基礎年金とみなされ、この加算額を除いた部分の遺族厚生年金と別の年金として取り扱われることになっている。
【問題】老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていない被保険者が死亡した場合において、死亡した者の妻が遺族厚生年金の受給権を取得したときに、夫の死亡当時遺族基礎年金の支給を受けることができる子がいない場合は、当該妻が40歳に達するまでの間、遺族厚生年金の額に遺族基礎年金の額の4分の3に相当する額が加算される。
(平成22年 問10B)
【解答】×
【解説(法62条1項)
夫の死亡当時40歳以上の妻、40歳到達時に遺族基礎年金の受給権を有する妻(子を養育する妻)が受給する遺族厚生年金を対象として中高齢寡婦加算を加算することとされている。この加算は、その寡婦が65歳に達するまでの間、支給することとされているが、これは65歳からは老齢基礎年金が支給されるためである。
また、この加算は、老齢厚生年金の受給に必要な加入期間の要件を満たしている者が死亡した場合については、死亡した者の被保険者期間が20年以上である場合に限り行われる。したがって、昭和60年改正前の、旧制度の通算遺族年金に相当する加入期間の短い遺族厚生年金については、この加算は行われないこととなる。(この要件については40歳以後の加入期間が15年以上ある者は、20年以上の加入期間を有するものとみなされる。)
この中高齢寡婦加算の加算額は、遺族基礎年金の4分の3に相当する額とされている。
よって、問題文の事例の場合、中高齢寡婦加算の対象とならず、「遺族基礎年金の額の4分の3に相当する額が加算される。」とした問題文は誤りとなる。
なお、昭和31年4月1日以前に生まれた者については、その者が死亡した厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者であって国民年金の任意加入期間が短い場合には、65歳に達した後に支給される老齢基礎年金の額が低額となることもあることから、その者が65歳に達した後も、生年月日に応じて経過的に一定額の加算が行われることとされ、65歳到達の前後で受給する年金額がさがらないように配慮されている。
【問題】被保険者期間が240月以上である老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者が平成19年4月1日以後に死亡した場合において、死亡した者の妻が遺族厚生年金の受給権を取得した当時、遺族基礎年金の受給権を有する者がおらず、かつ、当該妻がその当時40歳未満であった場合、当該妻の遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が行われることはない。
(平成19年 問5C)
【解答】○
【解説】(法62条1項)
平成19年4月1日の法改正により、夫の死亡当時40歳以上65歳未満である妻又は40歳に達したときに、夫の死亡当時から生計を同じくしている遺族基礎年金の支給要件を満たす子のある妻に支給される遺族厚生年金には妻が65歳に達するまで加算が行われることとなった。(中高年齢の寡婦加算)
よって、問題文の寡婦の場合、加算は行われず、問題文は正解となる。
なお、中高齢の寡婦加算は、老齢厚生年金の受給に必要な加入期間の要件を満たしている者が死亡した場合については、死亡した者の被保険者期間が240月以上である場合に限り行われる。