国民年金法

《目次》 【振替加算】

【振替加算】 (法附則(60)14条〰16条)

【問題】振替加算が加算された老齢基礎年金を受給している者であって、その者が障害基礎年金等の障害を事由とする年金給付を受給できるとき(当該障害基礎年金は支給停止されていない。)は、その間当該加算に相当する額が支給停止される。
(平成21年 問9E)
【解答】○
【解説】(法附則16条1項(昭和60年5月1日法律第34号))
■設問のとおり正しい。
■障害基礎年金等の全額につき支給が停止されている場合⇒振替加算に相当する額の支給は停止されない。

【問題】夫より年上の昭和10年生まれで老齢基礎年金の受給権者である妻が65歳に達したとき以降に夫の老齢厚生年金等の受給権が発生する場合で、当該老齢厚生年金等の受給権が発生した時点において、妻が夫によって生計を維持されている場合であっても、振替加算は支給されない。
(平成15年 問4E)
【解答】×
【解説】(法附則14条の2(昭和60年5月1日法律第34号))
老齢基礎年金の受給権者である妻が65歳に達した後に、夫の老齢厚生年金等の受給権が発生する場合は、夫の老齢厚生年金等の受給権(その額の計算基礎となった月数が原則として240以上であるものに限る)が発生した時点において、振替加算が行われることになっている。
よって、「振替加算は支給されない」とした問題文は誤りである。

【問題】老齢基礎年金の受給権者が、国家公務員共済組合法による退職共済年金(その額の計算の基礎となる組合員期間の月数が240以上であるものとする。)を受給できる場合は、振替加算は行われない。
(平成20年 問2A)
【解答】○
【解説】(法附則14条1項(昭和60年5月1日法律第34号)経過措置政令(昭和61年3月28日政令第54号)25条)
老齢基礎年金の受給権者が国家公務員共済法による退職共済年金(その額の計算の基礎となる組合員期間の月数が240以上(期間短縮特例に該当する場合はその期間)であるものに限る。)を受けることができる者であるときには、加給年金額の調整と同様の考え方により振替加算は行われないことになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、老齢基礎年金を繰上げ受給している場合であっても65歳になるまでは振替加算は行われず、繰下げ受給した場合は、振替加算は繰下げた老齢基礎年金の受給を受けるときから振替加算が行われる。

【問題】振替加算の支給対象者であって、保険料納付済期間が1年未満であり、合算対象期間と合わせて老齢基礎年金の受給権を取得した者には、振替加算の額のみの老齢基礎年金が支給される。

(平成13年 問9E)
【解答】×
【解説】(法27条、法附則14条(昭和60年5月1日法律第34号)、法附則15条(昭和60年5月1日法律第34号))
保険料納付済期間が1月以上あれば老齢基礎年金が支給され、振替加算の支給対象者となっている場合には、振替加算の額も支給される。
よって、保険料納付済期間が1年未満の者について「振替加算の額のみの老齢基礎年金が支給される」とした問題文は誤りである。
なお、振替加算の額のみの老齢基礎年金は、保険料納付済期間及び保険料免除期間(学生等の保険料納付特例期間及び若年者の保険料納付猶予制度の適用をうけた期間は除く)を全く有しない者が振替加算の要件に該当した場合であって、合算対象期間、学生等の保険料納付特例期間、若年者の保険料納付猶予制度の適用をうけた期間を合算した期間だけで原則として25年以上ある場合に支給されるものである。

 

【問題】振替加算の金額は、224,700円に改定率を乗じて得た額に、老齢厚生年金等の受給権者である配偶者の生年月日に応じて定められた率を乗じた額である。
(平成18年 問6E)
【解答】×
【解説】(法附則14条(昭和60年5月1日法律第34号))
振替加算の額は、224,700円に改定率を乗じて得た額(50円未満の端数は切り捨て、50円以上100円未満の端数は100円に切り上げ)に老齢基礎年金の受給権者の生年月日に応じて政令で定める率を乗じて得た額とされている。
よって、「老齢厚生年金等の受給権者である配偶者の生年月日に応じて定められた率を乗じた額」とした問題文は誤りである。

【問題】大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者であって、65歳に達した日において、合算対象期間といわゆる学生納付特例による被保険者期間を合計した期間が25年あり、かつそれ以外の被保険者期間はすべて保険料未納期間である者が、振替加算の要件に該当する場合は、振替加算相当額の老齢基礎年金が支給される。
(平成20年 問5B)
【解答】○
【解説】(法附則15条1項(昭和60年5月1日法律第34号))
振替加算の対象となる者と同年齢に属する者であるが、国外居住等の理由により、65歳に達するまでの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間を有することとならなかった者に対しては、振替加算と同額の老齢基礎年金が支給されることになっている。この老齢基礎年金を受給するためには合算対象期間を25年以上有する者であることが必要とされている。
学生等の納付特例制度による保険料免除期間については、追納がなされない限り年金額の計算の基礎としないこととされているため合算対象期間と同様の取扱いとなる。
よって、問題文は正解となる。

【問題】老齢厚生年金の受給権者の配偶者が、当該老齢厚生年金の受給権が発生した当時、65歳を超えている場合は振替加算の対象とされない。
(平成18年 問5A)
【解答】×
【解説】(法附則14条2項(昭和60年5月1日法律第34号))
例えば、妻の年齢が夫の年齢より高い場合のように、妻が65歳に達したとき以後に夫の老齢厚生年金等の受給権が発生する場合であっても、老齢厚生年金等の受給権が発生した時点において、加給年金額の対象となる要件を満たしている場合には、その時から振替加算が行われることとなっている。
よって、「振替加算の対象とされない」とした問題文は誤りである。

【問題】繰上げ支給を受けた場合、振替加算も同時に繰り上げて支給される。
(平成13年 問9A)
【解答】×
【解説】(法附則14条 昭和60年5月1日法律第34号)
振替加算は、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた老齢基礎年金の受給権者が65歳の達した日において次のいずれかの要件に該当するその者の配偶者に生計を維持されており、かつ、65歳に達した日の前日において、次のいずれかの加給年金額の対象となっていたことが必要である。(他にも要件があるので注意)
1.老齢厚生年金(退職共済年金)の計算基礎となった月数が240月(中高齢の期間短縮特例も含む)以上である受給権者
2. 障害厚生年金(障害共済年金)の受給権者(同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有する場合に限る)
そして、振替加算は、老齢基礎年金の繰上げ受給をした場合であっても、65歳になるまでは、行われない。
よって、「振替加算も同時に繰上げ支給される」とした問題文は誤りである。
なお、老齢基礎年金の繰下げ受給した場合は、繰下げ受給を開始したときから振替加算が行われる。(繰下げによる増額はない)

【問題】振替加算の受給対象者が老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をしたときは、振替加算も繰下げ支給され、当該振替加算額に政令で定める増額率を乗じて得た額が加算される。
(平成21年 問3E)
【解答】×
【解説】(法附則14条(昭和60年5月1日法律第34号))
■老齢基礎年金の支給繰下げの申し出があった場合⇒振替加算も繰下げ支給されるが、設問のような割増率が加算されることはない。
■老齢基礎年金を繰上げ受給した場合⇒65歳から振替加算が行われる。

【問題】遺族基礎年金の支給を受けている者に老齢基礎年金の受給権が発生したときは、いずれかを選択することになるが、遺族基礎年金を選択した場合であっても、振替加算の加算要件を満たす場合には、当該遺族基礎年金の額に振替加算相当額が加算される。
(平成21年 問3A)
【解答】×
【解説】(法附則14条(昭和60年5月1日法律第34号)、法附則16条(昭和60年5月1日法律第34号))
■振替加算は、あくまで老齢基礎年金に加算されるもので、遺族基礎年金に加算されるものではない。

【問題】振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が障害基礎年金の受給権を有するときに、当該障害基礎年金の全額につき支給が停止されている場合においても、振替加算に相当する部分の支給は停止される。
(平成21年 問3B)
【解答】×
【解説】(法附則16条(昭和60年5月1日法律第34号))
老齢基礎年金の振替加算については、その者が障害基礎年金等の給付を受けることができる場合には、当該加算に相当する額の支給を停止することとしている。これは、厚生年金保険の加給年金額についても、その対象となる配偶者が他の年金を受給できるときに調整を行っているのと同旨のものである。ただし、その者が老齢基礎年金のみを受給できるような場合には、その加入期間のいかんを問わず振替加算を合わせて支給することとされている。
よって、「振替加算に相当する部分の支給は停止される」とした問題文は誤りとなる。

【問題】振替加算の受給対象者であって、保険料納付済期間と保険料免除期間(いわゆる学生納付特例と若年者納付猶予の期間は除く。)を合算して1月以上1年未満の者が老齢基礎年金の受給権を取得したときは、65歳に達した月において振替加算相当額のみの老齢基礎年金が支給される。
(平成21年 問3C)
【解答】×
【解説】(法附則15条1項・2項(昭和60年5月1日法律第34号))
振替加算の対象となる者と同年齢に属する者であるが、国外居住等の理由により、65歳に達するまでの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間(学生納付特例と若年者納付猶予の期間は除く。)を有することとならなかった者に対しては、振替加算と同額の老齢基礎年金を支給することとされており、この老齢基礎年金を受給するためには、合算対象期間を25年以上有する者であることが必要とされている。
よって、保険料納付済期間及び保険料免除期間(学生納付特例と若年者納付猶予の期間は除く。)を1月以上有している場合は、振替加算相当額の老齢基礎年金を受給することはできないため、「振替加算相当額のみの老齢基礎年金が支給される」とした問題文は誤りとなる。
なお、本条の趣旨は、合算対象期間を25年以上有するために支給要件を満たしているにもかかわらず、保険料納付済期間及び保険料免除期間を有しないために年金額がゼロとなってしまう者に対して、振替加算相当の老齢基礎年金を支給することである。
また、学生納付特例制度(若年者納付猶予も同様)による保険料免除期間については、追納がなされない限り年金額の計算の基礎としないこととしているため合算対象期間と同様の取扱いとされている。

【問題】振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が、配偶者である老齢厚生年金の受給権者と離婚したことを事由として、振替加算は支給停止とはならない。
(平成21年 問3D)
【解答】○
【解説】(法附則14条(昭和60年5月1日法律第34号))
振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が、配偶者である老齢厚生年金の受給権者と離婚したとしても振替加算は支給停止されない。
よって、問題文は正解となる。
なお、離婚による年金分割を行った結果、離婚時みなし被保険者期間又は被扶養配偶者みなし被保険者期間を含めた被保険者期間の月数240月以上の老齢厚生年金を受給できる場合は、振替加算は行われない。

【問題】老齢基礎年金の受給権者の配偶者が障害等級1級の障害厚生年金の受給権者であり、加給年金額を受けていたことにより当該老齢基礎年金に加算される振替加算の額は、その配偶者が障害等級2級に該当するときの額の1.25倍の額になる。

(平成22年 問4E)
【解答】×
【解説】(法附則14条(昭和60年5月1日法律第34号))
■設問のような規定はないため誤り。
■振替加算の額⇒老齢基礎年金の受給権者の配偶者が障害等級1級又は2級のいずれの場合でも、224,700円に改定率を乗じて得た額に、100円未満の端数処理をしたうえで、受給権者の生年月日に応じて政令で定める率を乗じて得た額。

【問題】振替加算の支給対象者であって、保険料納付済期間が1年未満であり、合算対象期間と合わせて老齢基礎年金の受給権を取得した者には、振替加算の額のみの老齢基礎年金が支給される。
(平成17年 問7A)
【解答】×
【解説】(法附則14条(昭和60年5月1日法律第34号))
■老齢基礎年金の受給資格を有する者の保険料納付済期間が1か月以上あれば、その期間に応じた老齢基礎年金が支給。
■振替加算の額のみの老齢基礎年金ということはないので誤り。
■振替加算額に相当する老齢基礎年金のみが支給される場合⇒
合算対象期間、学生等の保険料納付特例期間、30歳未満の第1号被保険者の保険料納付猶予制度による期間を合算した期間だけで原則25年以上ある者が、振替加算の支給要件を満たしている場合。

【問題】振替加算は、老齢基礎年金を繰上げ受給した場合は繰上げ受給したときから加算され、繰下げ受給した場合は繰下げ受給したときから加算される。
(平成17年 問7B)
【解答】×
【解説】(法附則14条1項)
■振替加算⇒老齢基礎年金の繰上げ受給している場合であっても65歳になるまで加算されない。
■繰り下げの場合は、設問のとおり。
■「繰上げ受給したときから加算」の箇所が誤り。

【問題】振替加算が行われた老齢基礎年金は、その受給権者が障害基礎年金、障害厚生年金その他障害を支給要件とする年金給付であって政令で定めるものを受けられるときは、その間振替加算に相当する部分の支給が停止される。
(平成17年 問7C)
【解答】○
【解説】(法附則16条1項(昭和60年5月1日法律第34号))
老齢基礎年金の受給権者が、障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金その他障害を支給事由とする給付を受給することができる場合は、その間振替加算に相当する部分の支給が停止されることになっている。

【問題】老齢基礎年金の受給権者が65歳に達した日以降、その者の配偶者が老齢厚生年金の受給権を有するに至った場合は、その日から振替加算が行われる。
(平成17年 問7D)
【解答】×
【解説】(法附則14条2項・4項)
■その者の配偶者が老齢厚生年金(原則、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240月以上)の受給権を有するに至った日の属する月の翌月から振替加算が行われる。
■「その日から振替加算が行われる」の箇所が誤り。

【問題】振替加算が行われている老齢基礎年金の受給権者が、配偶者である老齢厚生年金又は退職共済年金の受給権者と離婚した場合、振替加算額に相当する部分の支給が停止される。
(平成17年 問7E)
【解答】×
【解説】(法附則16条1項)
振替加算の要件に該当した後に、配偶者と離婚した場合でも、振替加算額に相当する額が支給停止されることはない。

【問題】老齢厚生年金等の加給年金額の計算の基礎となっていた配偶者が、65歳に到達して老齢基礎年金の受給権を取得したときは、当該老齢基礎年金の額にその者の生年月日に応じて政令で定める率を乗じて得た額を加算する特例が設けられている。
(平成17年 問2E)
【解答】○
【解説】(法附則14条1項(昭和60年5月1日法律第34号))
振替加算は、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた老齢基礎年金の受給権者が65歳の達した日において、次のいずれかの要件に該当するその者の配偶者に生計を維持されており、かつ、65歳に達した日の前日において、次のいずれかの加給年金額の対象となっていた場合に行われる。(他にも要件があるので注意)
1.老齢厚生年金(退職共済年金)の計算基礎となった月数が240月(中高齢の期間短縮特例も含む)以上である受給権者
2. 障害厚生年金(障害共済年金)の受給権者(同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有する場合に限る)