【問題】臨時の賃金等を除く賃金の決定、計算及び支払いの方法に関する事項は、労働基準法第89条において、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項となっている。
(平成25年 問1B)
【解答】○
【解説】
■就業規則の絶対的必要記載事項は
①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
②賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
③退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
【問題】常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し又はその内容を変更した場合においては、所轄労働基準監督署長にこれを提出し、その許可を受けなければならない。
(平成23年 問5C)
【解答】×
【解説】(法89条)
■行政官庁(労働基準監督署長)に届け出する必要があるが、許可を得ることは要件でない。
【問題】労働基準法によれば、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、退職手当に関する事項を就業規則に必ず記載しなければならないとされており、また、期間の定めのない労働契約によって雇用される、勤続期間が3年以上の労働者に対して退職手当を支払わなければならない。
(平成24年 問7A)
【解答】×
【解説】(法89条3号の2)
■退職手当⇒相対的記載事項のため誤り。
■絶対的必要記載事項
・始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合の就業時転換に関する事項
・賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給に関する事項
・退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
■相対的必要記載事項
・退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法、退職手当の支払の時期に関する事項
・臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
・労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
・安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
・職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
・表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
・労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
【問題】常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成する義務を負うが、週の所定労働時間が20時間未満のパートタイム労働者は、この労働者数の算定には含まれない。
(平成21年 問3A)
【解答】×
【解説】(法89条)
■常時10人以上の労働者数⇒週の所定労働時間数にかかわりなくすべての労働者を含める。
【問題】使用者は、パートタイム労働者など当該事業場の労働者の一部について、他の労働者と異なる労働条件を定める場合には、当該一部の労働者にのみ適用される別個の就業規則を作成することもできる。
(平成21年 問3B)
【解答】○
【解説】(法89条、平成11年3月31日基発168号)
■同一事業場内で一部の労働者に対するの就業規則を作成することは問題ない。
【問題】1人でも労働者を使用する事業場においては、使用者は就業規則を作成しなければならない。
(平成20年 問2A)
【解答】×
【解説】(法89条)
■就業規則の作成義務があるのは⇒常時10人以上の労働者を使用する使用者。
■労働者派遣業の場合⇒就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者。
【問題】使用者は、いかなる場合でも就業規則に制裁の種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければならない。また、減給の制裁を就業規則に定める場合には、その減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
(平成20年 問2C)
【解答】×
【解説】(法89条、法91条)
■制裁の種類及び程度に関する事項⇒定めをする場合に記載しなければならない相対的必要記載事項。
■「必ず記載しなければならない」の箇所が誤り。
■後半の論点は正しい。
【問題】常時10人以上の労働者を使用する使用者は、退職に関する事項(解雇の事由を含む。)を、就業規則に必ず記載しなければならない。
(平成23年 問5A)
【解答】○
【解説】(法89条)
■設問のとおり正しい。
【問題】使用者が就業規則に記載すべき事項には、いかなる場合であっても必ず記載しなければならない事項(いわゆる絶対的必要記載事項)と、その事項について定めをする場合には必ず記載しなければならない事項(いわゆる相対的必要記載事項)とがある。
(平成21年 問3C)
【解答】○
【解説】(法89条)
■設問のとおり正しい。
【問題】労働基準法第89条の規定により、常時10人以上の労働者を使用するに至った使用者は、同条に規定する事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないが、従来の慣習が当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである場合、当該事項については就業規則に規定しなければならない。
(平成25年 問1D)
【解答】○
【解説】
■従来の慣習が当該事業場の労働者のすべてに適用されるものである場合、相対的記載事項に該当
⇒就業規則に規定しなければならない。
【問題】常時10人以上の労働者を使用する使用者は、当該事業場の労働者すべてを対象にボランティア休暇制度を定める場合においては、これに関する事項を就業規則に記載しなければならない。
(平成23年 問5B)
【解答】○
【解説】(法89条)
■ボランティア休暇制度は「休暇」に該当する絶対的必要記載事項。
【問題】派遣労働者に関して、労働基準法第89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である。
(平成25年 問1-C)
【解答】○
【解説】
■就業規則の作成義務を負うのは⇒派遣中の労働者+それ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者
■平成14年度の試験と全く同じです。
【問題】派遣労働者に関して、労働基準法第89条により就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者とを合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である。
(平成14年 問6D)
【解答】○
【解説】(法89条、昭和61年6月6日基発333号)
■派遣労働者に関して就業規則の作成義務⇒派遣元の使用者
【問題】労働基準法第89条第1号により、始業及び終業の時刻に関する事項は、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項となっているが、フレックスタイム制を採用する場合には、始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねる旨の定めをすれば同条の要件を満たすものとされている。その場合、コアタイム(労働者が労働しなければならない時間帯)、フレキシブルタイム(労働者がその選択により労働することができる時間帯)も始業及び終業時刻に関する事項であるので、それらを設けるときには、就業規則においても規定すべきものである。
(平成14年 問6C)
【解答】○
【解説】(法89条1号、昭和63年1月1日基発1号、平成11年3月31日基発168号)
■設問のとおり、フレックスタイム制を採用し、コアタイムとフレキシブルタイムを設ける場合⇒その旨就業規則に規定しておく必要がある。
【問題】使用者は、労働基準法第89条に規定する事項について就業規則を作成しなければならず、また、常時10人以上の労働者を使用する場合には、それを作成し、又は変更したときは、行政官庁に届け出なければならない。
(平成16年 問7C)
【解答】×
【解説】(法89条)
■就業規則を作成する義務があるのは、常時10人以上の労働者を使用する使用者。
■就業規則を作成又は変更した場合は行政官庁に届出する義務がある。
【問題】就業規則を作成又は変更するに当たっては、使用者は、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。
(平成20年 問2B)
【解答】×
【解説】(法90条)
■労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないが、同意を得る必要はないので誤り。
■法90条は労働組合との協議決定を要求するものではなく、労働組合の意見を聴けば労働基準法違反とはならない。
【問題】使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
(平成21年 問3D)
【解答】○
【解説】(法90条1項)
■設問のとおり正しい。
■就業規則の作成又は変更⇒過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
■反対意見があっても、他の要件を具備していれば、就業規則の効力には影響がない。
【問題】就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合において、一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超える定めは、無効となる。
(平成23年 問5D)
【解答】○
【解説】(法91条、昭和23年9月20日基収1789号)
■減給の制裁規定を定める場合には⇒
・1回の事案に対しては減給の総額は「平均賃金の1日分の半額」以内
・複数事案(一賃金支払期)に対する減給の総額は「一賃金支払期における賃金の総額の10分の1」以内
【問題】就業規則で、労働者が遅刻をした場合にその時間に相当する賃金額を減額する制度を定める場合には、減給の制裁規定の制限に関する労働基準法第91条の規定の適用を受ける。
(平成14年 問6E)
【解答】×
【解説】(法91条、昭和63年3月14日基発150号)
■実際に労働いていない時間分の賃金をカットすること⇒法91条の減給の制裁にはあたらない。(ノーワーク・ノーペイの原則)
■時間分を超えて賃金をカットすれば、減給の制裁。
【問題】就業規則に制裁として出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合において、労働者が、例えば5日間の出勤停止の制裁を受けるに至ったときは、当該5日間の賃金を支払わないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果であって、労働基準法第91条の減給の制裁の制限には関係のないものである。
(平成16年 問7B)
【解答】○
【解説】(法91条、昭和23年7月3日基収2177号)
■制裁としての出勤停止処分は、実際に労働していないので賃金を支払う必要はない。
■当然無給法91条の減給の制裁にはあたらない。
【問題】労働基準法第91条に定める減給の制裁の制限に関する規定は、同法第89条の規定が、常時10人以上の労働者を使用する使用者に対してのみ就業規則の作成義務を課しているところから、常時10人未満の労働者しか使用せず、就業規則の作成義務がない使用者に対しては適用されない。
(平成16年 問7A)
【解答】×
【解説】(法89条、法91条)
■常時10人未満のの労働者しか使用せず、就業規則作成義務のない使用者に対しても適用されるので誤り。
【問題】就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、また、一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えるとしても、当該賃金支払期における実際の減給の総額は、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内でなければならない。
(平成14年 問6B)
【解答】○
【解説】(法91条)
■減給の制裁は
①「1回につき平均賃金の1日分の半額」
②「一賃金支払期における賃金総額の10分の1以内」
という2つの要件を満たす必要がある。
【問題】就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならず、もし、これを超えて減給の制裁を行う必要が生じた場合においても、その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばすことはできない。
(平成16年 問7D)
【解答】×
【解説】(法91条、昭和23年9月20日基収1789号)
■法91条の減給の制限を超えて制裁を行う必要がある場合⇒その部分の減給は、次期の賃金支払期に延ばすことは可能。
【問題】就業規則に関しては、新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないが、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない、とする旨の最高裁判決がある。
(平成14年 問6A)
【解答】○
【解説】(秋北バス事件昭和43年12月25日最高裁判決)
■従来定年制の無かった会社で、55歳定年制を新設する就業規則の改正に伴い解雇された従業員が、本人の同意のない就業規則の改正には拘束力はないため、解雇は無効であるとして雇用関係の存在確認を求めた訴訟。
■合理的な理由があれば、個々の労働者の同意がなくても就業規則が適用された判例。
【問題】行政官庁は、就業規則が当該事業場について適用される労働協約に抵触する場合には、当該就業規則の変更を命ずることができる。
(平成25年 問1E)
【解答】正しい。
【解説】
■法92条の規定により「行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。
【問題】就業規則が法令又は当該事業場について適用される労働協約に抵触する場合には、行政官庁は、当該就業規則の変更を命ずることができる。
(平成20年 問2E)
【解答】○
【解説】(法92条)
■就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
■就業規則が法令、労働協約に反する場合、その部分について無効。
■行政官庁は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。
【問題】厚生労働大臣又は都道府県知事は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。
(平成24年 問7C)
【解答】×
【解説】(法92条、則50条)
■「厚生労働大臣又は都道府県知事」を「労働基準監督署長」にすれば正しい。