労働基準法 【年次有給休暇の付与】

【年次有給休暇の付与】 (法39条)

【問題】労働基準法第39条に定める年次有給休暇の付与要件の1つである「継続勤務」には、私傷病により休職とされていた者が復職した場合の当該休職期間は含まれない。

平成25年 問2C)
【解答】×
【解説】休職期間中も含まれるので誤り。
■継続勤務とは、在籍期間であるので、労働関係が継続している休職期間は当然通算される。


【問題】労働基準法第136条の規定において、使用者は、同法第39条の規定による年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしてはならないことが罰則付きで定められている。

平成25年 問2D)
【解答】×
【解説】
■罰則の規定がないので誤り。
■労働基準法136条⇒労働基準法附則136条
労働基準法附則136条「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」


【問題】労働基準法第39条に基づく年次有給休暇の権利は、雇入れの日から3か月しか経たない労働者に対しては発生しない。

(平成20年 問5B)

【解答】○

【解説】(法39条)
■使用者は、雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。


【問題】労働基準法第39条に定める年次有給休暇の趣旨は労働者の心身のリフレッシュを図ることにあるため、使用者は少なくとも年に5日は連続して労働者に年次有給休暇を付与しなければならない。

(平成22年 問6A)

【解答】×

【解説】(法39条)
■設問のような規定はないため誤り。 


【問題】年次有給休暇は、労働義務のある日についてのみ請求できるものであるから、育児休業申出後には、育児休業期間中の日について年次有給休暇を請求する余地はない。また、育児休業申出前に育児休業期間中の日について、労働基準法第39条第5項の規定に基づく年次有給休暇を与える時季に関する定めをした場合においても、同様に、当該日には年次有給休暇を取得したものとは解されない。

(平成17年 問5C)

【解答】×

【解説】(法39条、平成3年12月20日基発712号)
■前半の論点は正しい。

年次有給休暇は、労働義務のある日についてのみ請求可能。
⇒したがって、育児休業申出後、育児休業期間中(労働義務のない日)の日について年次有給休暇を請求することはできない。

■ただし、育児休業申出前に育児休業期間中の日に対する時季指定が行われていた場合や計画的付与の場合(時季指定権及び時季変更権が行使できなくなるため)は、その日について年次有給休暇を取得することは可能。


【問題】年次有給休暇の斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう。)を行っている事業場において、毎年1月1日を基準日として年次有給休暇を付与している場合に、10月1日入社労働者に翌年の1月1日の基準日に労働基準法所定の年次有給休暇を付与する場合には、年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」の算定に当たっては、10月1日から12月31日までの期間については、その期間における出勤の実績により計算し、1月1日から3月31日までの期間については、全期間出勤したものとみなして計算しなければならない。

(平成19年 問6D)

【解答】○

【解説】(法39条1項、平成6年1月4日基発1号)

■斉一的取扱いにより法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなす。
■設問の「1月1日から3月31日までの期間(短縮された期間)」については、全期間出勤したものとみなして計算する。


【問題】年次有給休暇の斉一的取扱いは、を行っている事業場において、毎年4月1日を基準日として年次有給休暇を付与している場合に、1月1日入社の労働者にその年の4月1日の基準日に労働基準法所定の年次有給休暇を付与する場合には、年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」の算定に当たっては、1月1日から3月31日までの間の実績についてのみ計算すれば足りる。

(平成14年 問5C)

【解答】×

【解説】(法39条、平成6年4月1日基発1号)
■年次有給休暇の斉一的取扱いをしたときは、短縮された期間(設問の場合は1月1日から3月31日までの期間)の出勤率要件⇒すべて出勤したものとみなして計算。


【問題】平成13年4月1日に雇い入れられた労働者であって、週所定労働日数が5日であるものが、平成14年10月1日から1年間休職し、平成15年10月1日から勤務を再開して平成16年9月30日までに全労働日の8割以上出勤した場合、使用者は、同年10月1日以降、当該労働者に、14労働日の年次有給休暇を与えなければならない。

(平成16年 問6C)

【解答】○

【解説】(法39条)
■年次有給休暇の日数⇒基準日(最初の基準日は雇入れの日から6か月経過日)において前1年間の出勤率が8割以上あれば、勤続年数に応じて決定されている日数が付与。
■設問では、平成13年10月1日に10労働日の年次有給休暇が付与⇒平成14年10月1日に11労働日⇒平成15年10月1日には前年の出勤率が8割未満なので0労働日となり⇒平成16年10月1日には、再び出勤率が8割以上あるので、勤続年数3年6か月の付与日数である14労働日の年次有給休暇が付与される。


【問題】労働基準法第39条第3項の適用を受ける所定労働日数の少ない労働者に関し、週所定労働日数が3日として雇われた労働者が、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合においては、当該6か月間勤務した日の翌日に所定労働日数が週3日から週2日の勤務に変更されたとしても、使用者は、週3日の所定労働日数の区分に対応する雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分に定める日数の年次有給休暇を与えなければならない。

(平成16年 問6A)
【解答】○

【解説】(法39条、昭和63年3月14日基発150号)
■基準日以降に所定労働日数が変更されても発生した年次有給休暇の日数に変更はない。


【問題】労働者派遣法の規定によるいわゆる紹介予定派遣により派遣されていた派遣労働者が、引き続いて当該派遣先に雇用された場合には、労働基準法第39条の年次有給休暇の規定の適用については、当該派遣期間については、年次有給休暇付与の要件である継続勤務したものとして取り扱わなければならない。

(平成18年 問6D)

【解答】×

【解説】(法39条)
■派遣先に雇用されたので、年次有給休暇付与の要件である継続勤務したものとして取扱う必要はない。


【年次有給休暇の取得方法】 (法39条4項)

【問題】派遣中の派遣労働者については、派遣先が極端な繁忙状態になっており、当該派遣労働者が年次有給休暇を取得すれば派遣先の事業の正常な運営を妨げるような場合であっても、年次有給休暇の時季変更権の行使に係る事業の正常な運営を妨げるかどうかの判断は、派遣元の事業についてなされる。

(平成16年 問6D)

【解答】○
【解説】(法39条4項、昭和61年6月6日基発333号)
■使用者が時季変更権を行使することができる「事業の正常な運営を妨げるかどうか」の判断⇒派遣労働者に関しては、代替労働者の派遣の可能性も含めて、派遣元の事業においてなされる。


【年次有給休暇の時季】 (法39条5項)

【問題】労働基準法第39条第4項の規定により、労働者が、例えばある日の午前9時から午前10時までの1時間という時間を単位としての年次有給休暇の請求を行った場合において、使用者は、そのような短時間であってもその時間に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げるときは、同条第5項のいわゆる時季変更権を行使することができる。

平成25年 問2E)

【解答】○
【解説】
■時間単位年給に対しても、時季変更権を行使できるので正しい。


【問題】年次有給休暇の権利は、労働基準法第39条所定の要件を満たすことによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではないとするのが最高裁判所の判例である。

(平成20年 問5A)

【解答】○

【解説】(林野庁白石営林署事件)
年次有給休暇の請求権の権利の発生時期についての問題。
■「年次有給休暇の要件が充足されたとき」なのか、「労働者において休暇の時季を請求したとき」なのか、という論点。
■結論は、労働者の請求があって権利が生じるのではなく、「年休の要件を満たした時に法律上当然に権利が発生する」という趣旨。


【問題】労働者の時季指定による年次有給休暇は、労働者が法律上認められた休暇日数の範囲内で具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をし、使用者がこれを承認して初めて成立するとするのが最高裁判所の判例である。

(平成22年 問6B)

【解答】×

【解説】(法39条、白石営林署事件)
■年次有給休暇の権利の発生⇒労働者からの請求や使用者の承認という要件はない。

雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤したら当然権利が発生する


【問題】労働者の年次有給休暇の時季指定に対し、労働基準法の趣旨として、使用者は、できるだけ労働者が指定した時季に休暇をとれるよう状況に応じた配慮をすることが要請されているものとみることができるとするのが最高裁判所の判例である。

(平成20年 問5C)

【解答】○

【解説】(弘前電報電話局事件)
■設問のとおり正しい。


【問題】6月30日をもって解雇により退職することの決まっている労働者が、労働基準法上20日分の年次有給休暇権を有している場合において、所定の手続に従って、6月15日から同月30日までの年次有給休暇を請求したときには、使用者は、いかに業務が繁忙であっても、当該労働者の解雇予定日を超えての時季変更は行えない。

(平成16年 問6E)

【解答】○
【解説】(法39条5項、昭和49年1月11日基収5554号)
■使用者はいかに業務が繁忙であっても付与しなければならない。


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