(法1条) 目的 雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。 |
①雇用保険は、政府が管掌する
②厚生労働大臣の権限の一部は都道府県労働局長に委任することができ、都道府県労働局長に委任された権限は、公共職業安定所長に委任することができる。
【雇用保険事業】
実施 |
①厚生労働大臣の指揮監督を受けて所轄都道府県労働局長が行う。 ②都道府県労働局長の指揮監督を受けて所轄公共職業安定所長が行う。 ⇒受給資格者等に係る事務は、管轄公共職業安定所長が行う。 |
委託 | 雇用保険の事務の一部(能力開発事業のうち、一定の事務)は、都道府県知事が行う。 |
雇用保険は、目的を達成させるため、失業等給付を行うほか、雇用安定事業及び能力開発事業を行う。
●離職とは:被保険者について、事業主との雇用関係が終了すること
●失業とは:被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態
●労働の意思とは:就職しようとする積極的な意思
⇒公共職業安定所に出頭して求職の申し込みや受給資格者自ら積極的に求職活動を行っている場合
●労働の能力とは:労働に従事し、その対価である賃金を得て自己の生活に資することができる精神的、肉体的及び環境上の能力
●賃金とは:賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの
⇒通貨以外のもので支払われるものの範囲…評価額は公共職業安定所長が定める。
厚生労働大臣は、雇用保険法の施行に関する重要事項について決定しようとする時
⇒あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。
●雇用保険法において、労働者が雇用される事業を適用事業と称する。
●暫定任意適用事業
⇒個人経営の農林水産の事業であって、常時雇用労働者数が5人未満である事業
⇒当分の間、任意適用事業
●被保険者とは、適用事業に雇用される労働者であって、適用除外に該当する者以外のもの
①一般被保険者:高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者以外の被保険者
②高年齢継続被保険者
③短期雇用特例被保険者
④日雇労働被保険者
【短時間就労者の適用基準】
短時間就労者とは、1週間の所定労働時間が、同一の適用事業に雇用されている通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短く、かつ、40時間未満である者
⇒短時間就労者に関しては
①1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、
②31日以上引き続き雇用されることが見込まれるとき
⇒被保険者になる。
原則 | 例外 |
①65歳に達した日以後に雇用される者 |
同一の事業主の適用事業に同日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている者及び短期雇用特例被保険者又は日雇労働被保険者に該当する者 |
②1週間の所定労働時間が20時間未満である者 | 日雇労働被保険者に該当する者 |
③同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者 |
前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及び日雇労働者であって日雇労働日保険者となる要件のいずれかに該当する者 |
④季節的に雇用される者であって 1.4箇月以内の期間を定めて雇用される者 2.1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者 |
― |
⑤学校教育法による学生又は生徒であつて、前①から④各号に掲げる者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者 (注①) | ー |
6.船員法に規定する船員であって、政令で定める漁船に乗り組むため雇用される者 | 1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く。 |
7.国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、 離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容⇒求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であって、厚生労働省令で定めるもの (注②) |
ー |
名称 | 届出期限 |
雇用保険被保険者資格取得届 |
事実のあった日の属する月の 翌月10日以内 |
雇用保険被保険者資格喪失届 |
事実のあった日の翌日から起算して 10日以内 |
雇用保険被保険者転勤届 | |
雇用保険被保険者氏名変更届 | 速やかに |
雇用保険被保険者休業開始時賃金証明書 |
休業開始日の翌日から起算して 10日以内 |
雇用保険被保険者休業・所定労働時間短縮開始時賃金証明書 | 離職し、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内 |
●事業主は、適用事業に係る事項を厚生労働大臣に届けなければならない。
ただし、提出先は、所轄公共職業安定所長
名称 | 提出期限 |
適用事業所設置(廃止)届 | 設置日(廃止日)の翌日から起算して10日以内 |
事業主事業所各種変更届 | 変更日の翌日から起算して10日以内 |
代理人選任・解任届 | あらかじめ |
(法8条・法9条) 確認
①被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、確認を請求することができる。 |
(法10条2)就職への努力 |
(法10条の3)未支給の失業等給付 (1)配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)、 (2)子、 (3)父母、 (4)孫、 (5)祖父母又は
(6)兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の失業等給付の支給を請求することができる。 |
(法10条の4)返還命令等 ①偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができる。 ②また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。 |
(法11条)受給権の保護
失業等給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。 (法12条)公課の禁止 租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。 |
●事業主、労働保険事務組合は、雇用保険に関する書類を完結の日から2年間保管しなければならない。
被保険者に関する書類は⇒4年間
【基本手当の受給資格】
基本手当の支給を受ける要件は、被保険者が失業して下記に該当した時に受給資格を取得する。
①離職の日以前2年間(算定対象期間)に被保険者期間が通算して12箇月以上であったときに支給
②特定理由離職者及び特定受給資格者となる者で①に該当しない場合は
離職の日以前1年間(算定対象期間)に被保険者期間が通算して6箇月以上あるときに支給
【特定理由離職者の範囲】…特定受給資格者に該当する者以外のもの
1.有期労働契約の期間が満了し、かつ、労働契約が更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
2.以下の正当な理由のある自己都合により離職した者
(1)体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
(2) 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
(3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した
(4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続ける
ことが困難となったことにより離職した者
(5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
(a) 結婚に伴う住所の変更
(b) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
(c) 事業所の通勤困難な地への移転
(d) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
(e) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
(f) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
(g) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
(6) その他、企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
【特定受給資格者の範囲】
1.「倒産」等により離職した者
(1)倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等) に伴い離職した者
(2)事業所において大量雇用変動の場合 (1か月に30人以上の離職を予定) の届出が されたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が 離職したため離職した者
(3)事業所の廃止 (事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
(4)事業所の移転により、 通勤することが困難となったため離職した者
2.「解雇」等により離職した者
(1)解雇 (自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者
(2)労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
(3)賃金 (退職手当を除く。) の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上となったこと等により離職した者
(4)賃金が、 当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した (又は低下することとなった) ため離職した者 (当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)
(5)離職の直前3か月間に連続して労働基準法に基づき定める基準に規定する時間 (各月45時間) を超える時間外労働が行われたため、 又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
(6)事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行って いないため離職した者
(7)期間の定めのある労働契約の更新により3年以上 引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないことと なったことにより離職した者
(8)期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(7)に該当する場合を除く。)
(9)上司、 同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者及び事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかったことにより離職した者
(10)事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者 (従来から恒常的に設けられている 「早期退職優遇制度」 等に応募して離職した場合は、 これに該当しない。)
(11)事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者
(12)事業所の業務が法令に違反したため離職した者
(法13条1項)算定対象期間の延長 離職の日以前2年間(1年間)に一定の理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった被保険者については、賃金の支払を受けることができなかった日数を2年間(1年間)に加算する。加算後の期間が4年を超えるときは、4年間とする。 |
(法14条) ①被保険者であった期間を離職の日からさかのぼって1カ月ごとに区切り、その各期間について賃金支払基礎日数が11日以上あるときは、その期間を被保険者期間の1カ月として計算される。 ②1カ月ごとに区切ることにより生じた1カ月未満の期間については、その期間の日数が15日以上であり、かつ、賃金支払基礎日数が11日以上である場合に、被保険者期間の2分の1カ月として計算する。 |
(法15条) ①基本手当は、受給資格者が失業している日(失業していることについての認定を受けた日に限る。)について支給する。 ② 失業していることについての認定(以下この款において「失業の認定」という。)を受けようとする受給資格者は、離職後、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしなければならない。 |
(法15条3項) 失業の認定は、求職の申込みを受けた公共職業安定所において、受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して4週間に1回ずつ直前の28日の各日について行うものとする。 ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者については、1月に1回、直前の月に属ずる確実について行う。 |
●受給資格者は、失業認定日に管轄職業安定所に出頭し、失業認定申告書に受給資格者証を添えて提出したうえで、職業の紹介を求めなければならない。
(法21条) 基本手当は、受給資格者が基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して7日に満たない間は、支給しない。 |
①基本手当は、受給期間内の失業している日について、所定給付日数分を限度に支給
対象者 | 期間 |
一般の受給資格者 | 離職の日(基準日)の翌日から起算して1年 |
所定給付日数が360日である 受給資格者 |
基準日の翌日から起算して1年+60日 |
所定給付日数が330日である 特定受給資格者 |
基準日の翌日から起算して1年+30日 |
要件 | 期間 | 申出の期限 |
①妊娠、出産、育児、疾病又は 負傷などにより 引き続き30日以上職業に就くことができない者 |
職業に就くことが できない期間 加算後の期間 ➠最長4年間 |
要件に該当するに至った日の翌日から起算して ➠1箇月以内 |
②60歳以上の定年退職者などにより離職した者 |
求職の申し込みをしないことを希望 一定の期間 (限度:1年) 加算後の期間 ➠最長2年間 |
離職の日の翌日から起算して ➠2箇月以内 |
【賃金日額】
(原則)
●算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6箇月に支払われた賃金総額を
180で除した金額
(例外)
●算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6箇月に支払われた賃金総額を
その6箇月間の労働日数で除した金額に100分の70を掛けた金額
【賃金日額の下限額・上限額(自動変更対象額)】
離職日における年齢 | 上限額 | 下限額 |
60歳以上65歳未満 | 14,540円 | 2,000円 |
45歳以上60歳未満 | 15,010円 | |
30歳以上45歳未満 | 13,650円 | |
30歳未満 | 12,290円 |
●基本手当の日額は、賃金日額の応じた給付率を乗じて算定。
【離職日における年齢】➠60歳未満
賃金日額 | 給付率 |
2,000円以上3,950円未満 | 100分の80 |
3,950円以上11,410円以下 | 100分の80〰100分の50 |
11,410円超 | 100分の50 |
【離職日における年齢】➠60歳以上65歳未満
賃金日額 | 給付率 |
2,000円以上3,950円未満 | 100分の80 |
3,950円以上10,230円以下 | 100分の80〰100分の45 |
10,230円超 | 100分の45 |
●所定給付日数とは、受給期間内の基本手当の支給限度日数のこと
【一般の受給資格者】
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
90日 | 120日 | 150日 |
【就職困難者】
|
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
45歳未満 | 150日 | 300日 | |||
45歳以上65歳未満 | 360日 |
【特定受給資格者】
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | |
30歳以上35歳未満 | 180日 | 210日 | 240日 | ||
35歳以上45歳未満 | 240日 | 270日 | |||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
●所定給付日数分の基本手当の支給だけで再就職に至らない場合➠所定給付日数を超えて基本手当が延長して支給される制度
給付 | 内容 |
①訓練延長給付 | 公共職業訓練等を受ける場合 |
②広域延長給付 | 広域職業紹介活動が行われる場合 |
③全国延長給付 | 失業の状況が全国的に著しく悪化した場合 |
④個別延長給付 | 個別の事情で再就職が困難な場合 |
(法29条)
|
①公共職業安定所の紹介する職業に就くことを拒否
②公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を拒否
➠拒んだ日から起算して1箇月間は不支給
③正当な理由がなく、公共職業安定ウ所が行う職業指導を拒否
➠拒んだ日から起算して1括期間を超えない範囲内で公共職業安定所長が定める期間は不支給
④自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇
⑤正当な理由がない自己都合退職(離職理由による給付制限)
➠待期期間の満了後1箇月以上3箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は不支給
⑥偽りその他不正な行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとしたとき
➠その日以後不支給
●離職理由による給付制限が行われた時の受給期間の延長
給付制限期間中に7日を超え30日以下の範囲内で厚生労働省令で定める日数(21)及び所定給付日数を加えた期間が1年(所定給付日数が360日である受給資格者は1年に60日を加えた期間)を超えるときは、その超える期間だけ受給期間が延長される。
手当 | 内容 | 金額 |
受講手当 |
受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けた日であって 基本手当の支給の対象となる日について支給 ➠下記の間は不支給 ・公共職業訓練等を受講しない日 ・待期期間中の日 ・給付制限期間中の日 ・傷病手当の支給対象日には支給されない |
日額 500円 |
通所手当 |
受給資格者が、公共職業訓練等を行う施設へ通所するために、交通機関や 自動車を利用する場合 |
月額上限 42,500円 |
(法36条2項) 寄宿手当は、受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その者により生計を維持されている同居の親族(婚姻の届出をしていないが、事実上その者と婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)と別居して寄宿する場合に、その寄宿する期間について支給する。 |
(法37条) |
(法37条の2) 被保険者であって、同一の事業主の適用事業に65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されているもの(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。以下「高年齢継続被保険者」という。)が失業した場合には、高年齢求職者給付金を支給する。 |
【支給要件】
高年齢求職者給付金は、離職の日以前1年間(注①)に、被保険者期間が通算して6箇月以上であるときに支給する。
(注①)当該期間に疾病、負傷その他厚生労働省令で定める理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかつた高年齢継続被保険者である被保険者については、当該理由により賃金の支払を受けることができなかつた日数を1年に加算した期間(その期間が4年を超えるときは、4年間)とする。
【支給の流れ】
高年齢受給資格者は、離職の日の翌日から起算して1年を経過する日(受給期限日)までに、管轄公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業していることについての認定を受けなけらばならない。
【支給額】…基本手当の日額×下記の区分に応じて定める日数
算定基礎期間 | 1年未満 | 1年以上 |
支給日数 | 30日 | 50日 |
(法38条)短期雇用特例被保険者が失業した場合に、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あるときに特例一時金を支給する。 |
(法40条3項) ①特例一時金の支給を受けようとする特例受給資格者は、離職の日の翌日から起算して6箇月を経過する日までに、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした上、失業していることについての認定を受けなければならない。 ②管轄公共職業安定所長は、その者が特例受給資格を満たすと認めたときは、失業の認定日を定め、特例受給資格者証を交付。 |
(法42条)
日雇労働者であって、一定の要件に該当する者は、日雇労働被保険者になる。 |
●日雇労働被保険者が失業した場合➠日雇労働求職者給付金が支給
日雇労働求職者給付金には➠「普通給付」と「特例給付」がある。
【資格要件】
●普通給付
➠失業の日の属する月前2箇月間に、印紙保険料が通算して26日分納付されていること。
●特例給付
➠下記の要件をすべて満たす者が、公共職業安定所長に申し出ること
①継続する6箇月(基礎期間)に印紙保険料が各月11日分以上、かつ、通算して78日分以上納付されていること
②基礎期間のうち後の5箇月間に普通給付又は特例給付の支給を受けていないこと
③基礎期間の最後のつきの翌月以後2ヵ月間に普通給付の支給を受けていないこと。
【失業の認定】
●普通給付
①失業の認定を受けた日に支給。失業の認定を受けようとする者は、公共職業安定所に出頭し、求職の申し込みが必要。
②失業の認定は、その者の選択する公共職業安定所において日々その日について行われその日の分が支給
【特例給付】
①失業の認定は、管轄公共職業安定所において、支給の申し出をした日から起算して4週間に1回ずつ行われ24日分が支給
②申し出は、基礎期間の最後の月の翌月以後4箇月の期間内に行わなければならない。
●原則、所定給付日数分の基本手当をすべて受給する前に再就職した場合に支給される報酬金の役割。
就職促進給付 |
①就職促進手当 | 就業手当 |
再就職手当 | ||
常用就職支度手当 | ||
②移転費 | - | |
③広域求職活動費 | - |
【就業促進手当…就業手当・再就職手当・常用就職支度手当の相違点】
就業手当 | 再就職手当 | 常用就職支度手当 |
受給資格者のみ ⇒支給残日数が1/3以上 かつ 45日以上 |
受給資格者のみ ⇒支給残日数が1/3以上 かつ 45日未満 (暫定期間中は1/3以上) |
(就職困難者) ①受給資格者 ⇒支給残日数が1/3未満 又は 45日未満 ②特例受給資格者 ③日雇受給資格者 |
非常用型の職業に就労 | 1年超えの常用型の職業に就労 | 1年以上の常用型の職業に就労 |
(法58条)
移転費は、受給資格者等が公共職業安定所の紹介した職業に就くため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更する場合において支給する。
移転費の額は、受給資格者等及びその者により生計を維持されている同居の親族の移転に通常要する費用を考慮して、厚生労働省令で定める。
種類 | ①鉄道賃金 ②船賃 ③航空賃 ④移転料 ⑤着後手当 |
支給額 |
旧居住地から新居住地までの順路によって計算した額 (着後手当を除く) |
支給手続 | 移転の日の翌日から起算して1箇月以内に移転費支給申請書に受給資格者等を添えて、管轄公共職業安定所長に提出 |
●広域求職活動費は、受給資格者等が公共職業安定所の紹介により広範囲の地域にわたる求職活動をする場合に支給
種類 | ①鉄道賃 ②船賃 ③航空賃 ④車賃 ⑤着後手当 |
支給額 | 通常の経路及び方法により、管轄公共職業安定所の所在地から、訪問事業所の所轄公共職業安定所の所在地までの順路により計算した額 |
支給手続 | 広域求職活動の指示を受けた日の翌日から起算して10日以内に広域求職活動費支給申請書に受給資格者証等を添えて、管轄公共職業安定所長に提出 |
(法60条の2) 教育訓練給付金は、次の各号のいずれかに該当する者が、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合において、支給要件期間が3年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする場合は1年以上であるときに、支給する。
1.教育訓練を開始した日(基準日」)に被保険者(高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)である者 |
支給要件期間は、基準日までの間に同一の事業主の適用事業に引き続いて被保険者(高年齢継続被保険者を除く。)として雇用された期間をいう。(被保険者となった日前に被保険者であったことがある者については、当該被保険者であった期間を通算した期間)とする。 |
(法60条2) ①教育訓練給付金の支給額は、教育訓練の受講の為に支払った費用の額に100分の20以上 100分の40以下のはんいないで厚生労働省令で定める率(100分の20)を乗じて得た額。 (上限10万円) ②①により算定された額が4,000円以下の場合は教育訓練給付金は支給されない。 |
(法60条の3) 偽りその他不正の行為により教育訓練給付金の支給を受け、又は受けようとした者には、その給付金の支給を受け、又は受けようとした日以後、教育訓練給付金を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、教育訓練給付金の全部又は一部を支給することができる。 |
(法61条) 高年齢雇用継続基本給付金は、被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)に対して支給対象月に支払われた賃金の額が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の75に相当する額を下るに至った場合に、支給対象月について支給する。 |
①支給対象月に支払われた賃金額(A)のみなし賃金日額に30を乗じて得た額(みなし賃金日額)に対する割合に応じて、下記のとおり。
②①により算定された額に(A)を加えた額が支給限度額をこえるときは、支給限度額から(A)を控除して得た額が支給される。
(A)/みなし賃金 | 支給額 |
100分の61未満 | (A)×100分の15 |
100分の61以上 100分の75未満 |
(A)×(100分の15から一定の割合で逓減するように 厚生労働省令で定める率) |
100分の75以上 | 支給なし |
被保険者は、初めて高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けようとするときは、 支給対象月の初日から起算して4箇月以内に、高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書に60歳到達時等賃金証明書その他の書類を添えて所轄公共職業安定所長に提出 2回目以降の支給申請を行うべき月は、所轄公共職業安定所長が指定 |
(法61条の2) 高年齢再就職給付金は、受給資格者(その受給資格に係る離職の日における算定基礎期間が5年以上あり、かつ、当該受給資格に基づく基本手当の支給を受けたことがある者に限る。)が60歳に達した日以後安定した職業に就くことにより被保険者となった場合において、再就職後の支給対象月に支払われた賃金の額が、基本手当の日額の算定の基礎となつた賃金日額に30を乗じて得た額の100分の75に相当する額を下るに至ったときに、再就職後の支給対象月について支給する。 |
(法61条の2第4項) 高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき再就職手当の支給を受けることができる場合において、その者が再就職手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金を支給せず、高年齢再就職給付金の支給を受けたときは再就職手当を支給しない。 |
(法61条の3) 偽りその他不正の行為により次の各号に掲げる失業等給付の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、当該各号に定める高年齢雇用継続給付を支給しない。 ただし、やむを得ない理由がある場合には、当該高年齢雇用継続給付の全部又は一部を支給することができる。 |
(法61条の4) 育児休業給付金は、一般被保険者(高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く。)が、その1歳(その子が1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合にあつては、1歳6か月)に満たない子を養育するための休業をした場合において、その休業を認始した日前2年間に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であったときに、支給単位期間について支給する。 |
「支給単位期間」とは、休業をした期間を、休業開始日又は休業開始応答日(各月においてその日に応当し、かつ、育児休業期間内にある日)から各翌月の休業開始応当日の前日(休業終了日の属する月については、休業終了日)までの各期間に区分した場合におけるその区分による一の期間をいう。 |
支給単位期間について、休業開始時賃金日額に次の各号に掲げる支給単位期間の区分に応じて定める日数(支給日数」)を乗じて得た額の100分の40に相当する額。 ①②以外の支給単位期間:30日 ②休業終了日の属する支給単位期間:その支給単位期間の日数 |
(法61条の6) 介護休業給付金は、一般被保険者が、対象家族を介護するための休業をした場合において、当該休業を開始した日前2年間(注①)に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であったときに、支給単位期間について支給する。 |
「支給単位期間」とは、対象家族を介護するための休業をした期間(休業開始日から起算して3月を経過する日までの期間に限る。)について、育児休業給付金の支給単位期間に準じて区分した一の期間。 |
介護休業給付金の額は、一支給単位期間について、休業開始時賃金日額に次に掲げる支給単位期間の区分に応じて定める日数(支給日数)を乗じて得た額の100分の40に相当する額とする。 ①②以外の支給単位期間:30日 ②休業終了日の属する支給単位期間:その支給単位期間の日数 |
(法61条の5、7) 偽りその他不正の行為により育児休業給付(介護休業給付金)の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付金の支給を受け、又は受けようとした日以後、育児休業給付(介護休業給付金)を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、育児休業給付金(介護休業給付金)の全部又は一部を支給することができる。 |
●雇用保険二事業には➜雇用安定事業と能力開発事業の2つ
●政府は、被保険者、被保険者であった者及び被保険者になろうとする者(被保険者等)に関し、
失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定を図るため、雇用安定事業として一定の事業を行う。
●政府は、被保険者等に関し、職業生活の前期難を通じて、これらの者の能力を開発し、及び向上させることを促進するため、能力開発事業として一定の事業を行う。
(法69条) ・被保険者の資格の取得又は喪失の確認にかんする処分 ・失業等給付に関する処分 ・不正受給に係る失業等給付の返還命令もしくは納付命令
②前項の審査請求をしている者は、審査請求をした日の翌日から起算して3箇月を経過しても審査請求についての決定がないときは、当該審査請求に係る処分について、決定を経ないで、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。(再審査請求) |
●被保険者の資格の取得又は喪失の確認に関する処分が確定した時は
➜その処分についての不服をその処分に基づく失業等給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。
休職者給付 (高年齢求職者給付金、日雇労働求職者給付金を除く) |
4分の1 |
日雇労働求職者給付金 | 3分の1 |
雇用継続給付 (高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金を除く) |
8分の1 |
●雇用保険事業に要する費用に充てるため政府が徴収する保険料については、
➜労働保険の保険料の超優等に関する法律の定めるところによる。
●事業主は、労働者が被保険者の資格の取得又喪失の確認の請求をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他の不利益な取り扱いをしてはならない。
●上記規程違反の場合
➜事業主に対して、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる。
●失業等給付の支給を受け、又はsの返還を受ける権利及び返還命令等の規定により納付をすべき事を命ぜられた金額を徴収する権利は
➜2年を経過したときは時効により消滅