雇用保険法
《目次》 【特定受給資格者】【特定理由離職者】
【問題】事業所の業務が法令に違反したために離職した者は、事業主が行政機関から違反状態の是正を命じられたにもかかわらず合理的期間内にこれに従わなかった事実が認められる場合にのみ、特定受給資格者となる。
(平成17年 問3C)
【解答】×
【解説】(法23条2項、則35条11号、特定受給資格者の判断基準)
■事業所の業務が法令に違反した場合で、当該法令違反の事実を知った後、3ヶ月以内に離職した場合⇒特定受給資格者に該当。
■「違反状態の是正を命じられたにもかかわらず合理的期間内にこれに従わなかった事実が認められる場合にのみ」の箇所が誤り。
【問題】事業所が遠隔地に移転し、自宅から往復5時間もかかることになったため、通勤は困難であるとして退職届を提出して離職した者は、特定受給資格者となる。
(平成14年問3A)
【解答】○
【解説】(法23条2項1号、則34条4号、特定受給資格者の判断)
■通勤困難(往復所要時間が概ね4時間以上であるとき等)など、適用事業所の移転について事業主より通知され(事業所移転の1年前以降の通知に限る。)、事業所移転直後(概ね3か月以内)までに離職した場合
⇒事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者となり、特定受給資格者となる。
【問題】事業主が人員整理のために3か月の期間限定で希望退職の措置を新たに導入し、全従業員を対象に退職を勧奨した場合、これに応募して離職した者は特定受給資格者となる。
(平成13年 問4C)
【解答】○
【解説】法23条2項2号、則35条9号、特定受給資格者の判断基準
■希望退職募集(希望退職募集の名称を問わず、人員整理を目的とし、措置が導入された時期が離職者の離職前1年以内であり、かつ、当該希望退職の募集期間が3か月以内であるものに限る。)への応募に伴い離職した場合⇒事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者⇒特定受給資格者。
■従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合⇒これに該当しない。
【問題】期間の定めのある労働契約の更新により2年以上引き続き雇用されてきた者が、本人が契約更新を希望していたにもかかわらず、契約更新がなされなかったために離職した場合には、特定受給資格者となる。
(平成13年 問4B)
【解答】×
【解説】(法23条2項2号、則35条7号)
■「2年以上」⇒「3年以上」にすれば正しい。
【問題】事業主が不渡手形により手形交換所で取引停止処分を受けたため離職した者は、離職の日が破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、整理開始又は特別清算開始の申立がなされる以前であっても、特定受給資格者となる。
(平成13年 問4A)
【解答】○
【解説】(法23条2項1号、則33条、則34条1号)
■設問のとおり正しい。
■離職の日が、破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、整理開始、特別清算開始の申立てがなされる以前であるかどうかは問われない。
【問題】自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された者は、時間的な余裕なく離職した場合であっても、特定受給資格者とはならない。
(平成13年 問4E)
【解答】○
【解説】(法23条2項2号、則35条1号)
■自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された者⇒特定受給資格者とならない。
【問題】自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者は、原則として特定受給資格者とならないが、公共職業安定所長による宥恕が行われた場合には、特定受給資格者となりうる。
(平成17年 問3B)
【解答】×
【解説】(法23条2項、則35条1号、特定受給資格者の判断基準)
■自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者⇒特定受給資格者ではない。
■自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された者に対して、公共職業安定所長による宥恕(許すこと)など行われない。
【問題】期間6か月の労働契約を5回更新し、合計3年間継続勤務してきた者については、労働者が6回目の更新を希望せず、期間の満了によって雇用が終了した場合であっても、特定受給資格者となる。
(平成17年 問3D)
【解答】×
【解説】(法23条2項、則35条7号、特定受給資格者の判断基準)
■期間の定めがある労働契約が更新され、雇用された時点から継続して3年以上雇用されている場合であり、かつ、労働契約の更新を労働者が希望していたにもかかわらず、契約更新がなされなかった場合に離職した場合⇒特定受給資格者に該当。
【問題】過去1年間に「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」が定める労働時間の延長の限度(年360時間)を超える時間外労働が行われたことを理由として離職した者は、離職の直前の3か月間の時間外労働の時間数の多寡に関わりなく、特定受給資格者となる。
(平成17年 問3E)
【解答】×
【解説】(法23条2項、則35条5号、特定受給資格者の判断基準)
■1か月を単位とした延長時間の限度である45時間を超える時間外労働が離職直前の3か月間(賃金締切日を起算日とする各月)に連続して行われていたため離職した場合⇒特定受給資格者に該当。
【問題】労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者は、特定理由離職者に当たらない。
(平成22年 問2B)
【解答】○
【解説】(法23条2項、則36条2号)
■労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職したものは⇒特定受給資格者。
【問題】女性労働者が同僚から職場環境が著しく害されるような性的言動を受け、事業主に苦情を申し立てたが改善されなかったため退職届を提出して離職した場合、特定受給資格者となる。
(平成14年問3C)
【解答】○
【解説】(法23条2項2号、則35条8号、特定受給資格者の判断)
■事業主が、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかった理由による離職⇒特定受給資格者。
【問題】就業規則の定める60歳の定年年齢に達したことにより退職した者は、特定受給資格者に当たらない。
(平成14年問3B)
【解答】○
【解説】(法23条2項、則34条、則35条)
■設問のとおり正しい。
【問題】過去1年間に、事業活動の縮小に伴って、当該事業所で雇用される被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働保険被保険者を除く。)の半数以上が解雇や退職勧奨により離職したため、会社の将来を悲観して自ら退職した者は、特定受給資格者に該当する。
(平成17年 問3A)
【解答】○
【解説】(法23条2項1項、則34条2号、特定受給資格者の判断基準)
■事業規模若しくは事業活動の縮小又は事業の転換等に伴い、雇用される雇用保険被保険者のうちの相当数の人員整理(事業主都合による解雇や勧奨退職、希望退職応募等により離職した者が、当該離職者の離職日の1年前の日(1年前より後に人員整理が開始された場合は当該人員整理開始日)と比較し、適用事業所の3分の1を超えることとなる場合)が既に行われたために離職した場合⇒特定受給資格者に該当。
【問題】長年(たとえば15年以上)にわたって同一の職種に就いていた者が、新たな知識や技能を必要とする別の職種への配置転換を命じられ、かつ事業主が十分な教育訓練の機会を与えなかったために新たな職種に適応することができず、やむなく離職した場合には、特定受給資格者となる。
(平成13年 問4D)
【解答】○
【解説】(法23条2項2号)
■一定期間(10年以上)同一の職種に就いていたものが、職種転換に際し、事業主が十分な教育訓練を行わなかったことにより、専門の知識又は技能を十分に発揮できる機会を失い、新たな職種に適応することが困難となり離職した場合⇒特定受給資格者。
■事業主が職種を遂行する上で必要な教育訓練を実施し、同職種に他の職種より転換した者が適応できている場合⇒この基準に該当しない。
【問題】算定基礎期間が12年である特定受給資格者の場合、基準日における年齢が満42歳である者の所定給付日数は、満32歳である者の所定給付日数よりも多い。
(平成23年 問3D)
【解答】○
【解説】(法23条1項)
■基準日におけて35歳以上45歳未満である特定受給資格者の算定基礎期間が10年以上20年未満である場合の所定給付日数⇒240日。
■基準日において30歳以上35歳未満である特定受給資格者の算定基礎期間が10年以上20年未満である場合の所定給付日数⇒210日。
【問題】算定基礎期間がいずれも5年以上10年未満である特定受給資格者のうち、基準日の年齢が40歳の者と32歳の者とを比較した場合、前者の所定給付日数は後者の所定給付日数よりも30日多い。
(平成18年 問3C)
【解答】×
【解説】(法23条1項3号・4号)
■基準日において30歳以上35歳未満である特定受給資格者の算定基礎期間が5年以上10年未満である場合の所定給付日数⇒180日
■基準日において35歳以上45歳未満である特定受給資格者の算定基礎期間が5年以上10年未満である場合の所定給付日数⇒180日
【問題】勤務先の会社について破産又は会社更生の手続が開始されたことに伴い離職した者は特定受給資格者に該当するが、民事再生手続の開始に伴い離職した者は特定受給資格者に該当しない。
(平成20年 問2C)
【解答】×
【解説】(則34条1項)
■倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、整理開始、特別清算開始の申立て、金融機関の金融取引の停止)に伴い離職した者⇒特定受給資格者に該当。
【問題】体力の衰えにより自己都合退職した者は、いかなる場合も特定理由離職者に該当することはない。
(平成20年 問2D)
【解答】×
【解説】(則19条の2)
■自己都合退職の場合であっても、その離職理由が、体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等である場合
⇒正当な理由のある自己都合により離職した者として特定理由離職者となる場合がある。
■以下の正当な理由のある自己都合により離職した者⇒特定理由離職者に該当。
①体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
②妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
③父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した場合
④配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した場合
⑤次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
(1)結婚に伴う住所の変更
(2)育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
(3)事業所の通勤困難な地への移転
(4)自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
(5)鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
(6)事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
(7)配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
⑥その他、事業主からの退職勧奨による離職に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
【問題】基準日が平成21年3月31日から平成26年3月31日までの間である場合、特定理由離職者である受給資格者についてはすべて、基本手当の支給に当たり、特定受給資格者と同じ所定給付日数が適用される。
(平成22年 問2D)
【解答】×
【解説】(法附則4条、則附則18条)
■特定理由離職者(厚生労働省令で定める者に限る。)であって、受給資格に係る離職の日が平成21年3月31日から平成26年3月31日までの間である場合
⇒基本手当の支給については、当該受給資格者を特定受給資格者とみなして所定給付日数等の規定が適用。